太陽光発電の概要
東日本大震災以降,原子力発電のトラブルにより自然エネルギーの実用化が模索されています。
弊社においては,1998年に設計監理したデイサービスセンター「いくとくⅡ」で,太陽光発電パネルによる太陽光発電システムを採用しました。
このときはソーラーパネルの模様の美しさを外壁デザインに取り込んで外壁の一部として壁面に収納させました。 (上写真の左・中央写真)
もちろん,この枚数だけでは定格電力の確保は難しいので,階段室の陸屋根部分にも水平状態のパネルが設置され ています。
設置したソーラーパネルの枚数は25枚,それに相当するソーラーパネルの想定発電量は5.4KWです。 では,この発電量は家庭の使用量と比較してどの程度なのでしょうか?
一世帯当たりの年間消費電力量は,6,000kwhといわれています。また,ソーラーパネルセットの基本的な発電量は,一概に言えませんが,概略1KW程度のシステムの場合
年間 1,000~1,100Kwhの発電量を確保できるので5.4KWの
場合年間消費電力量の約90%は,まかなうことができるとい う計算です。これは電力料金に換算すると約8万円の節約につながるようです。
弊社においては,「いくとくⅡ」を皮切りに,住宅設計(西口邸),賃貸マンション計画などに太陽光発電システムを採用しました。西口邸では,大阪ガスのエコウィルシステムも組み込んでいます。
※エコウィルシステム
天然ガスを使って発電・給湯・暖房を行うシステム
設置の場合(特に既存建築物の屋根荷重)
ソーラーパネル自身の荷重は,パネル1枚当たり約1.5~2.0kgとなります。パネルが25枚分 屋根に載せるので,屋根荷重は通常の荷重に350kgのパネル荷重が積載されることになります。 ソーラーパネル25枚分の面積について,ソーラーパネルを考慮しない構造計算では,約1,300kgになります。それにソーラーパネルが350kg分載せられるのですから,あまりに影響が大きすぎます。つまり,ソーラーパネルを積載する場合は 屋根荷重を 十分 考慮した構造計算を行ってその安全性を確認すべきでしょう。 翻って言うと 既存建物に安易に太陽光パネルを設置する場合は,断面的な荷重のバランスが 頭デッカチの側に移動してしまうので,それなりの補強をしなければ地震時に大きな揺れを生じたり,倒壊などの可能性が高まるといえます。
この屋根荷重の問題は太陽熱温水器でも 同様のことが言えます。 東日本大震災の結果,原発の依存度を減らすための方策として勧められる太陽光発電,それによって地震時に建物が倒壊するなんて こんな皮肉なことはありません。
太陽光発電の初期費用
太陽光発電設備の設置のための初期費用は 通常の家庭で使う3KWから4KW程度で200万円から250万円が相場といったところでしょう。今後,その需要が大きくなれば ますます 低価格化が進んでいく可能性があります。 それでは,価格の低い業者が良いのかというと決してそうではありません。なぜなら屋根につける太陽光発電パネルはその取り付け方が悪ければ,屋根の防水を破ってしまい,漏水の原因になります。基本的にソーラーパネルの寿命は20年(ほとんどのメーカーは10年の保証を付けています)と言われていますが,その関連機器は10年といわれています。 その関連機器の中に,屋上設置のジョイント金物類も含めて考えると,10年くらいで 屋根の点検を行うほうが賢明であると思います。そんな長い付き合いのできるというようなこともふまえて,ソーラーパネルの設置業者を選定する必要があると思います。
太陽光発電設置のための助成金
太陽光発電の設置のためには,国と地方自治体の 二種類の支援制度があります。しかしそれは地域によって違っていたり,書類の書き方が異なったり その手続きは非常に煩雑ですが,設置のための投資をできるだけ軽減するためには 申し込むのが得策であると思います。 弊社における設計監理の委託物件では 申請のお手伝いを行っています。