勢至学園 西九条園

 

 敷地は安治川隧道の二筋北側に位置し,南面を長手に接道したほぼ長方形の形状をしている。地形的のは安治川の河川敷であり,歴史的に見ても地盤は砂質地盤であり,近年においても台風による数度の水害の受けた地域である。水害に関しては大阪市の重点的な高潮対策として安治川水門が設置され,万全の対策をとられている。されど古来からの歴史を振り返ると砂質地盤であり,大地震時の液状化の懸念がある。そこで地盤改良と同時に液状化対策としてスーパージオ工法を採用した。この工法は基礎の周囲に空隙をもったスーパージオ材を埋め込み,液状化によって噴出する砂や水を受け止めて 液状化時に地盤を安定させる工法である。


 翻って地上部の計画に関しては,園舎は園庭を中心としたかぎ型の配置となっている。カギの部分の1階は事務所や厨房などの監理部門,2階に遊戯室を配置し,そこから内部階段を含めた吹抜け空間を挟んで保育室が連なっている。

 この吹抜の階段とそれに繋がるホワイエの手すりに子供たちが立ち並び下を見下ろす姿は まるでたわわに実った果実が棚からぶら下がっているような ほほえましい光景を見せてくれる。

保育室からはバルコニーデッキを通って園庭に出ることができ,子供たちが外部で遊ぶことを促している。道路面などは紅カナメモチやスダジイ,ソメイヨシノやドウダンツツジはまだまだ幼いが,子らの成長とともに大きく繁れば,四季折々の景色や香りを味わせてくれるだろう。


西面
南西角
エントランスホール
吹抜け,下の階のお兄ちゃん何してるの?
4階ホール