第二善児園 保育園
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敷地は,南面が大阪市弁天町みなと通りに面し,その一本北側の通りにまで続いた幅約6m奥行き23mの細長の敷地である。
この保育所を設計するに当たり,子どもたちを外敵から守るための閉鎖性と 地域や大人たちとの関わりの中で人として成長するための外部への開放性という二律背反の考えをどのように捉えるのかが一つのテーマであった。また,狭小な敷地の中にあって,一日の大半の時間をおくる乳幼児たちの生活空間として 快適さをどのように確保するのかも重要な用件であった。
そのような諸条件を背景にして,1階門扉は完全に視線も含めてすべて閉じてしまい,その内側にガラスのエントランス扉をしつらえた。ガラスの扉には電気錠が仕込まれており,視覚的には解放されるがセキュリティ面でクローズとなる。そして夜は野太い鉄製門扉で完全に閉じられるのである。しかし2階から上階は全面ガラスのサッシで視覚的に外部に開かれている。南面は「港通り」という幹線に面しているが,太く根付いたイチョウ並木が四季折々の姿を子供たちに見せてくれるだろう。
内部の保育空間は二つの階段やEV,トイレなどをセンターに配置し南北の空間を広めの廊下でつないだワンルーム形式で東西南北の通風を確保することができた。またLEDの細長い照明器具を南北に一列に配置して空間の一体性を強調し,全体的に彩度は高く明度は低く抑えたインテリアによって広く見せる工夫も行った。結果的に外観との印象とは違って広く感じるインテリアに,保護者達には好評である。
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