S 診療所改修工事

 
 大阪市内にある診療所である。先祖代々医者の家系で,現在の愛知県設楽郡鳳来町あたりで開業しており,華岡青洲に教えを請いに行ったことが記録として残されている。本体建物は昭和30年頃に建ったもので,当時は生命保険会社の営業所として使われていたのを先代が購入して診療所として用いられていた。 今回,世代交代をきっかけに改修する運びとなった。

 計画は先代が中心になって行われたが,ゴシック調のクラシカルなデザインが要求されたことである。敷地の2辺は道路,一方の隣地は近隣公園で他方の隣地との間には駐車場があり,周辺街並みとは切り離された状況であった。

  デコラティブなデザインはややもすればアクが強くなりがちである。よって アルキャストの装飾金物,石状吹き付けによる外壁などの装飾的表現と,ガラスブロックという現代的材料によるシンプルな表現につとめ,ディテールの形だけを強調した。外壁目地は黄金分割に近い比率で割り付け,開口部の配置などもそれに倣っている。

  明るい待合にはステンドグラスを飾ったり 受付からの直接的な視線を避けるなど 視覚的に患者への配慮を行っている。
 

これらの写真は改修前です。築後約30年です。
生命保険の営業所として建てられた物で  今度で2回目のリファインでイメージが一新されました。